TUNE-UPとは?

手仕上げとマシン仕上げ   ■「TOUCH」TUNE-UPとは?


『チューンナップ』、それはスキー・スノーボード一台一台が持つ特性を引き出し、乗り手、シチュエーションに合わせる作業です。したがって、チューンナッパ−は多種多様のスキー・スノーボードの特性をしっかりとらえて、数多くの経験を積む必要があります。『TOUCH』はそれらを見極めるために、シーズンインとともに各大会やレーシングキャンプへ出向き、トップ選手からシティーレーサーをサポートしています。その結果、さまざまな状況に合わせたチューンナップサービスを提供することが出来ます。

また最近では、チューンナップを請け負う業者が多数出てきています。チューンナップマシンに板を通すだけ、というところも少なくありません。それでは本当のチューンナップとは言えません。チューンナップマシンの操り手は、機械に強ければいいということではなく、スキーの特性や滑走するシチュエーションを熟知している人間でないとさまざまな板の特性を生かすことが出来ないのです。

私の考えるチューンナップの基本は、正確にマシーンを操り、しっかり手仕上げをし、完成されたスキー・スノーボードを作るという流れです。

雪上のスポーツは、『トータル』に考えなくてはなりません。それは毎回違う顔を見せる自然相手のスポーツだからです。

このように、このサークル内の全てが整って初めて雪の上のスポーツ、スキー・スノーボードが成立するのです。チューンナップはその中の一端を担う重要なポイントの一つです。より快適に、よりスピードを求めるにはチューンナップの重要性を無視することは出来ません。

本来チューナップの姿は、使用する人間に合わせスキーの性能を上げるようにフルに仕上げて初めてチューンナップといえるのです。
しかし一般的に現状では、機械仕上げ、部分的チューニングなど、ひとまとめにして「チューンナップ」といっているのが事実です。
この機械仕上げ、部分的チューニングは、そこだけ取って見れば一つの形にはなっていますが、全体的に見ればそれぞれ役割のあるパーツなだけで、まったくバランスの取れないものになっているのです。自分自身でそれを補うチューニングができれば話は別ですが、実際にはより難しく、不完全な物のままで使用していることが多数みられます。


では巷で一般的に行われている機械仕上げ(マシン仕上げ)について考えてみましょう。(以下マシンおよびマシン仕上げという)

日本で初めてサービスマン(選手のスキーを専門にチューンナップする人)という言葉が使われたのは、札幌オリンピック(1972年)の時からと言われています。
当時は専用のチューンナップマシンもほとんど無く、それぞれのサービスマンがそれぞれの考えのもと、試行錯誤しながら選手のスキーを一台一台手作りで、チューンナップしていました。
しかし近年、スキー滑走メカニズムの解明が進み、それに伴いスキーチューンナップ専用の優秀なマシンが開発されています。マシンが優秀になればなるほど、それを覚える誰もがマシン仕上げのチューンナップが出来ることになります。これは、人が手をかける機会が少なくなるため、サービスマンの人件費削減につながり合理的と思われがちです。しかし、スキーのメカニズム、テクニックの結びつきを十分に理解していないまま、工業製品を扱うようにチューンナップまがいの事業が巷に横行しているのも確かではないでしょうか。

さて、スキー表面形状について話を変えます。今日の呼び方として、キャップもしくはモノコック構造というものが主流になっています。その副産物として、スキーチューンナップの基本となる「滑走面のフラット」が出なく、「コンケーブ」、いわゆる滑走面側のエッヂが滑走面より高く、また滑走面自体も中央に向かうほど低く湾曲しており、スキー滑走においてはエッヂが雪面に対して、抵抗の非常に大きいものになっています。現在の優秀なチューンナップマシンは、そのコンケーブ状態のままでも、スキーに相当の圧をかけて削ってしまいます。したがって見た目には全体的に研磨されていますが、実際にコンケーブは解消されておらず、ただ見た目のキズが消えきれいになっているだけで、何ら性能の向上、いわゆるチューンナップにはなっていません。

キャップもしくはモノコック構造と呼ばれる形状が作り出してしまうコンケーブのメカニズムとは。
(図1)スキーの表面素材が丸くエッヂの端まで覆う構造になっています。滑走面が平らに対して表面素材が丸みを帯びているため、お互いの引っ張ったり縮んだりしようとする力に差が生じ、そのため滑走面が負けて引っ張り込まれ、どうしてもコンケーブになってしまうのです。 

(図1)キャップおよびモノコック構造スキーの断面図





私自身の経験から、スキー滑走においてフラットの重要性を熟知しているため、今でも原始的とも言えるサンディングマシンで、滑走面をしっかりフラットにしてから、仕上げのマシンに通しています。これは世界的なサービスマンから見ればごく当たり前の事で、手仕上げでチューンナップをしていくのに最も基本となるものなのです。
「しっかりと基本のフラット滑走面」

しっかりとサンディング

弱い圧でのストーンマシンで
ストラクチャー加工

滑走面全体均一なストラクチャー

操作性の良いスキー
     
「コンケーブの滑走面」

キズを消すためだけのサンディング

強い圧をかけてのストーンマシンでの
ストラクチャー加工

「むら」のあるストラクチャー

ひっかかりや操作性の悪いスキー

手仕上げとマシン仕上げ

それではもう少し細かく部分的なところで、手仕上げマシン仕上げの違いについてみて見ましょう。
 まず滑走面ですが、先ほど少し述べたように滑走面はフラットが基本であり、フラットでなければならないものです。ごく一部、スキーの使用用途によってフラット以外の加工をわざと施しますが、これはほんのわずかの特殊なケースに限られてきます。
滑走面をフラットにするにはサンディングマシンに頼る部分が大きいですが、ただ通せばフラットになって出てくるものでなく、長年そのマシンを使い込み、マシンの癖を知った上で、そのスキーに合った削り方を微妙に調節しながら作業します。この作業により基本となるフラットがきっちり出すことが出来、そのスキーの本来持っている性能を引き出すことが出来ます。単なるマシンに通しただけのものは実際にはフラットが出ず、滑走面がコンケーブのままで、スキーの性能を生かすことが出来ない状態のままでいるのです。
適当なマシン仕上げのコンケーブのままでのスキーでは、エッヂ自体が滑走面より突出しておりスキーを曲げようとするとき、大きな抵抗となりコントロールの利かないものになってしまいます。
(図2)滑走面がコンケーブになっているスキーの断面
(図3)滑走面がフラットになっているスキーの断面

また現在では滑走性をより引き出すために「ストラクチャー」という、専用マシンで故意に滑走面に溝を刻み込む作業が一般的になっています。この作業も本来ならしっかりフラット出しが出来ている滑走面に施し、滑走面全体に均一にストラクチャーをいれなければいけません。ところが、先にも述べたようにマシンの発達により、フラットが出ていなくとも、専用マシンでストラクチャーを入れる事が出来ます。結果として、コンケーブの滑走面では圧のかかり方が一定でないため、実際には「むら」のあるストラクチャーが入ってしまうのです。この「むら」自体は一定の滑走性を保つことが出来ません。

コンケーブの滑走面ではワクシングする時、滑走面より高いエッヂと湾曲している滑走面のため、ワックスを均一に伸ばすことが出来ず、ワックススクレイプの時も均一に綺麗に剥がすことが出来ません。スクレイプの時に少しでも余分にワックスが残ってしまうと、その残ったワックスが滑走時に雪の結晶と衝突を起こし、滑走性を大きく損ねてしまいます。したがって本来そのスキーが持っている性能自体をうまく発揮させることが出来なくなり、スキーが価値のない物になっているのも確かです。

次にエッヂですが、エッヂが存在する理由は、雪面に対してグリップを利かせスキーをコントロールすることが主たる目的であると考えます。これは前に述べたことと同じです
が、もう少し細かいところを見てみましょう。

部分的にエッヂも滑走中はしっかりと雪面にコンタクトしており、このエッヂの面が荒れていればその分、滑走中のエッヂ面が雪の結晶と衝突し大きな摩擦を生み、滑走性の向上など望めなくなります。また通常のアルペンスキーはジャンプスキーと違いターンをするために、曲がらなくてはなりません。このスキーが曲がるという動きをする時には、エッヂのグリップと相反してスキーのズレによって、曲がる方向をある程度決定する役割をしているのです。この事から、エッヂ面が荒れているとこの部分が雪面に対しての抵抗となり、ズレが出せなくなり自分の意と反したコントロールの効かないスキーになってしまいます。マシン仕上げのエッヂは、マシンに取り付けた専用の回転する研磨石またはサンディングベルトにより、かなりの高速回転で深く削り上げるので、大なり小なり面が荒れてしまうことは確かなことといえます。

その点手仕上げによるエッヂ研磨は、その言葉の通り人の手によって専用のヤスリを使い分け、雪面に対して抵抗の少ない滑らかなエッヂ面を作りながら、本来のエッヂの大きな役割である、グリップ力を高めるための細かな調整の利いた、シャープなエッヂを作り上げることが出来ます。

もう一点、エッヂはグリップ力を増すために鋭く研ぎあげますが、突き詰めれば研ぎあげたときエッヂの面が湾曲しておらず、エッヂ面がストレートになっているほうがより雪面をしっかり捉えることが出来ます。これもやはりマシンでの仕上げではどうしてもエッヂ面が湾曲してしまいますが、高い技術によって手仕上げで行うと、きっちりストレートになったエッヂ面を作り上げることが出来ます。一般的には相当鋭いエッヂは必要としないため、研ぎあげた後で滑る人の技術や状況に合わせてエッヂの角を少し丸めることにより、スキーの基本性能を損なわないエッヂに作り上げることが出来るのです。
(図4)機械仕上げの湾曲したエッヂ
     (図5)手仕上げによる直線的なエッヂ

◆マシン仕上げによるさまざまな障害の例
@ きっちりとした滑走面のフラットが出ない
A ストラクチャーが均一に入らない
B 滑走面の毛羽立ちが多く滑走性が悪い
C ワックスが全体に塗布しずらい
D ワックススクレイプの時きっちり剥がせない
E エッヂ面が粗く操作性が悪い
F エッヂ面が丸く湾曲してグリップ力がない
G 滑走面よりエッヂが突出しているためスキーコントロールが難しい

以上マシン仕上げと手仕上げによる違いを述べてきましたが、一般的にスキーチューンは、見た目だけで良し悪しの判断はなかなかつけられないと思います。

また、本来はもっとポテンシャルが高く良いスキーを持っていたとしても、そのポテンシャルを最大限に引き出せるか、少ししか引き出せないかによっては全く別のスキーになるといっても過言ではありません。今までマシンで仕上げたスキーを使用してきた場合、手仕上げによる違いを実感したことがないとその差がわからないと思いますが、マシン仕上げでようやく少しだけ引き出せる性能が、そのスキーの全てだと思い込んでいる人も少なくはないでしょう。今までマシン仕上げチューンしか経験したことない人は是非、手仕上げで最大限に性能を引き出したチューンを試していただきたいと思います。

またチューンナップをゆだねるとき、手仕上げでも作業する人間の技術、経験によっても仕上がり方が大きく違うのも確かです。「有名な店に出せば安心」多くの場合、その店がチューンナップするのではないため、一概には安心できません。その店のどういう経験を積んで確かな技術を習得している「誰」が、チューンナップをするかで、スキーの特性の引き出し方が違い、それに伴い自身のスキーライフが大きく変わってくると思います。


「TOUCH」TUNE-UPとは?

さて最後に、「TOUCH TUNE-UP」は、カムピリオ大阪、そしてTOUCH TUNE-UPへ、手仕上げ作業のチューンナップを依頼されたお客様へ提供するチューンナップブランドです。私自身の経験を国内外のサービス活動とともに、ご来店または、直接発送による多くのスキーヤーへフィードバックしています。
マシン仕上げをご希望のお客様には、マシン仕上げはチューンナップを完成させるまでの1工程の作業にすぎないため、ご希望のお客様には、手仕上げとマシン仕上げの違いをご説明し、納得の上で手仕上げチューンナップをご利用頂いています。それらについてのご相談もお答えいたします。
TOUCHでは日々研究を繰り返し、最高のチューンナップを提供できるよう努めています。
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